英語がうまくなるわけじゃない話
わたし達はお互いにとって外国語である英語で付き合っております*1。
そのわたし達の使っている英語の話。
ときどき「英語で国際恋愛していると英語上手になりますよね」と言われます。何かの冗談かと思いますけれど、どうやら真面目に言っている人も中にはいる模様*2。「もちろんそんなわけないし、それって偏見の一種じゃないの」というのがわたしの答えなわけですけれど、おそらく、もう少し丁寧に言うならこんなところになりますか。
語学は国際恋愛しているからめちゃくちゃ上達するような簡単なものではありません。
国際恋愛すると英語って上達するの!? - Tatchan in America
どのくらい難しいかを考えるために参考になる数字があります。それが2200時間。
これは参照される Foreign Service Institute (FSI) の調査の数字です。国務省研修生の英語話者が日本語を勉強するのに2200時間の学習が必要とされるようです。つまり語学のインテンシブコースに1日8時間かよってみっちり学習しても275日かかる計算です。
この2200時間に比べれば、遠距離恋愛のパートナーと過ごす時間は微々たるものですし、学習の効率としても国務省のインテンシブコースに比べることはできません。
結局大人になると語学は自分でお金と時間を使ってしみじみと学習するしかないのです。
*1:
もちろん、Aさんは日本語を、わたしはロシア語を勉強しようとしてはいますけれど、なかなか日常生活にかまけていると語学学習も進みません。「スキマ時間を使って上手に外国語を勉強してやるぜ」という意気込みだけはあるんですけれど、所詮スキマ時間です。外国語の学習には、圧倒的に接触時間がものをいうわけですけれど、スキマ時間をいくら足しても総計は微々たるものです。
この状況は恥ずかしいことですし、これからのことを思えば非常に先行き不安なわけです。
*2:ちなみに日本語話者との国際恋愛カップルに関して言えばは、英語圏の人と日本語圏の人のカップルは少数派です。そもそも英語は第2言語として使う話者のほうが圧倒的に多い言語です。
(リンク先のグローバル・スタンダード云々は、無視してください。「世界中の人と情報を共有したい場合の選択肢は英語しかない」などと書いて平然としていられる態度は、わたしは好みません。英語で入手できる情報の偏りに意識が行かない人間は国際化について口にするべきではないと思うのです。)