「ロシア人は靴を脱ぐのだ」の話
2人が付き合うと、これまでの生活の違いをすり合わせるのが大事な作業になります。これはお互いの出身がどこであろうとも、どんな2人であろうとも、そうだと思うのです。そして生活の違いをすり合わせるたり、さらについて折り合いをつけたり……できているうちは、たぶん、2人の生活を過ごしていけるのでしょう。国際恋愛だの、インターレイシャル・カップルだのと言っても、あまり特別なことはなくて、最後は個人の生活を2人の生活にするところが大変でかつ楽しいのでしょう*1。
一方で予期せずにお互いの習い性が一致することもあります。今日はそんな話。
パリでは靴を脱いでる
Aさんは家にあがるときに靴を脱ぎます。パリで出会ったときからそうです。
最初のうちはわたしの家で会うことが多くて、「わたしが脱いでるからAさんも真似して脱いでいるのかしら」と思っておりました。というのもドイツやフランスでは、脱ぐおうち脱がないおうち色々だからです*2。というわけで、多くの友人が「君んちは靴を脱ぐのかね」と訊いてくれたものです。ちなみに、お客さんが来たときだけ、土足解禁という家も結構あります。お呼ばれすると「靴のママどうぞ」と言われますが、玄関を見るとあきらかにみんな靴を脱いでいる場合です。靴置きがあったりしてみんなホストの家庭のみんなが靴を脱いでると、わたしは「日本人なので」と言い訳して靴を脱いでました。だって楽なんだもの。
ところが、Aさんのアパートに遊びに行くと、そこでもAさんは靴を脱ぎます。曰く、「ロシア人はみんなそうする」と。なるほど。巨大なロシア全体でそうなのかはともかく、Aさんの育った環境では、そうなのね。そう、わたしは思いました。
モスクワでもそうらしい
Aさんは仕事で、モスクワに長期滞在していた時期がありました。
モスクワはAさんの故郷の街から1,800kmあまり。これだけ離れていれば、もしかしたらアパートでの暮らし方も違うかもしれません。
というわけで、Aさんがルームシェアで住んでいたアパートに着いたときにも訊いてみました。
「靴脱いでいいのかしら」
Aさんは涼しい顔で「当たり前でしょう」と言います。確かに見ると、大家さんの靴が大量に玄関先に並べられています。
なるほど。モスクワでも靴は脱ぐのだ。
靴問題は解決した
てなわけでわたし達の間に、家で靴を脱ぐのか問題(おおげさ)が存在しないことを確認しました。
アパートを借りようとして、不動産屋さんや大家さんが、
室内の土足厳禁は当たり前ですが、やはり外国人の中には靴のまま生活をしている方が少なくありません。
などと言おうものなら、にっこり笑って「ロシア人は靴を脱ぐのだ」と言えば良さそうなこともわかりました。
にっこり。