CDG-HNDな遠距離国際恋愛日記

パリと東京。Aさんとわたし。

そこにある差別の話

フランクフルト在住のTAUさんのブログを拝見しました。  

私たちが地下鉄に乗り込んだ後、12~15歳くらいの白人のティーンエイジャーが乗ってきました。 彼らは私たちの顔を見るなり、「咳をする真似」をして、さらに「コロナ」という単語を残して車両を移動していきました。 余りにも唐突で、何が起こったのか分からなかった。。 数秒して、私たちに向けてされたことなんだなと理解しました。 急に体が熱くなりました。。 さらに私からは死角にでわからなかったのですが、妻曰く、その様子を見ていた高齢の夫婦が、私たちを見てニヤニヤ笑っていたそうです。

【人間の絆は強いはず!】コロナウィルスと人種差別 - 妻が駐在になりまして ~主夫ブログ~

ドイツで教育を受け、ドイツを第2のふるさとと思うものとしてとてもつらい記事でした。もちろんわたしはドイツを代表するわけでもないですし、わたしがなしたわけではないことについて謝ることもできませんけれど、それでも辛い記事でした。

TAUさんとご夫人のことを思っています。欧州のアジア系のコミュニティのことを思っています*1

わたしはドイツやパリ(そして、それ以外の国々)の生活を(非常に親しい友人に対しての場合を除いて)悪く言わないように心がけています。そのことがときどき「あなたは幸せな生活を送ったんですね。幸運でしたね」という反応につながることがあります。実際に全体として、わたしは友人達に恵まれていましたし、彼らが見えない保護層になってわたしの生活は非常に安全なものでした。

もちろんわたしは、ドイツでも偏見や差別に直面しました。特に、3.11のあと、極右政党AfDの躍進の時期には、こちらも敏感になっていましたので非常に辛かったのを覚えています。しかしわたしは、ある属性やコミュニティを押しなべて偏見を押し付けることを拒否するように、愚か者が持つある属性やコミュニティを押しなべて一般化することも拒否したいと思います。

幸い、わたしは彼らが例外的な愚か者であることに確信が持てる環境にいることができました。多くの人がそういう状況にあるわけではないことを知っていますので、わたしは非常に幸運だったのでしょう。

またわたしはこれが「ヨーロッパの問題」ではないことも知っていますし、わたしがいつでも正しい側にいたわけではないことも知っています。高校時代に総武線の中で、直面できなかった差別的事件を覚えています。酔っ払った愚か者が、アジア系の方に非常に差別的な言葉を投げかけているとき、わたしは恐怖で介入できませんでした。このことをわたしは、今でも恥じていますし、次はなんとかうまいこと介入できないだろうかと考えています。

差別的な言辞を弄する者は、そこにいます。わたしはその人がわたし達の言語をハイジャックすることを拒否したい。そう思います。

*1:わたしはこの記事で、コロナウィルスに罹患している方へのお見舞いの言葉を書かない決心をしました。彼らへの気持ちをこの話題に混ぜて書くことは、彼らへの尊敬を示すことにつながらないと思うからです。