信じない話
Aさんはロシア人だなぁと思うことはあまりないのですが、それでもAさんはいかにもロシア人な部分もあります。
今日はそんな話。
貯金を信じない
Aさんのロシア人っぽく見えることの1つは、貯金を信じていないことです。
1998年、ロシアは金融危機を迎え、ロシア政府は対外債務履行停止、デノミネーションとともに、預金封鎖を行いました。こうしてロシア人の貯金は政府により事実上没収されたようです。
Aさんはこのとき、お祖母様の貯金がなくなったことをよく覚えています。そのせいでAさんは貯金に対する信頼がほとんどありません。「一生懸命貯めてもどこかで誰かに持っていかれてしまう」とAさんは言います。
日本でも預金封鎖は起こったことがありますし、まったくそういうことがないと想定して生きるのはリスクが高いです。とはいえわたしは実際に預金封鎖を経験したことはありませんし、なんだったら、わたしは20年位の長期で財政計画できたら嬉しいなと思う方です。
パトロール中の警察官を信じない
ロシアのガイドブックや在ロシア日本大使館の広報サイトには、いわゆる不良警察官およびニセ警察官の話題が必ず出ています。
Aさんもやはり街で歩いている警察官を信頼しません。わたしがドイツや日本、フランスで、気軽に警邏中の警察官に話しかけるのを、あまり良いこととは思っていないようで、毎回、「気をつけなくてはいけない」ということと、「ロシアでは絶対にやってはいけない」ということを強調します。
もちろん日本でもかなり問題ある職務質問が実践されることがありますし、それが報道されることもあります。しかし道を訊くのもためらわれるほどのことではないと、わたしなどは思うのです。わたしが甘いのかもしれませんけれど。
郵便を信じない
Aさんはロシアの郵便を信じません。郵便は届かないという気持ちで送るものなようです。「大事なものはロシア宛には郵送しない」とAさんは固く誓います。追跡番号をつけてもなくなるものはなくなるのだそうで、なかなか難しいです。
さすがに郵便については、フランスと日本のものは信じているようですけれど、それでもかなり慎重です。
まあフランスでも郵便事故は珍しくないので、これはロシア的というか、欧州的なのかもしれませんけれども。