ながらの話
Aさんが常々不満に思っていることがあります。それは、わたしがマルチタスクをしようとしてうまくできないことです。「あーたは、マルチタスクはできないんだから」とAさんはしばしば言います。
とりわけAさんが不満なのは、わたしが通話中に気になることを急にグーグルで検索し始めたりすることです。
書いてみると、「そら嫌がられるだろう」という気が自分でもしてきたのですが、それでも言い訳してみようとしてみると、話題になったことをその場でささっと検索したいのです。わからないけれど、調べればすぐに分かりそうなことを積み残して話を終わりたくないのです。それに調べて面白いことがわかれば、話も膨らんでいくじゃないですか。
更に言うと、2人で近距離にいるときは、そうやっていろいろ検索しながら話をしてうまくいっているわけです。そして実際に検索したことを使って話題を膨らませてもいるわけです。
近距離でできる程度のマルチタスクが、遠距離で通話中にできないはずがないと、わたしは思うのです。原理としてはできないはずがない。原理としてできないはずないことをしているわけですから、失敗するわけないはずのに、Aさんによればわたしはそれに失敗しているようなのです。結局、通話中にパソコンを開いて検索を始めては、「今パソコン使っているでしょう」と怒られるのでした。
怒られながら、それでも「遠距離での通話と、近距離での会話って違うこともあるんだなあ」とのほほんと思っているわたしは態度があまり良くないですけれど、こういうことがあると、なるべく早く一緒に住んでパソコンを2人で見ながら会話したいなあと思うのでした。
それまでは、気になっても検索はしないようにしないといけませんね……。