CDG-HNDな遠距離国際恋愛日記

パリと東京。Aさんとわたし。

パリの匂いの話

街にはその街に独特の感覚的刺激があるように思います。

東京の音

飛行機で東京についてすぐに気がつくのは、音です。もちろん日本語がわかるようになるということもありますけれど、もっと「耳につく」のは、自動音声です。なんとなく「ビッグシスター」と呼びたくなるほど、四方八方から自動音声が流れてきます。搭乗口を降りて最初のエスカレーター、パスポートコントロール、税関、駅……自動音声に囲まれながら、徐々に前に進んでいく感じ。これがわたしにとっての東京です。

わたしは自動音声が苦手なのですけれど、必ずしも自動音声が悪いものなわけではないのでしょう。自動音声が役に立つことは多くあると思います。 標準化された聞き取りやすい発音で注意喚起することのポイントはあると思います。

パリの匂い

わたしがパリについて一番に感じるのは匂いです。空港について一番に感じるのが匂いの情報が多く入ってくることです。色々なものが渾然一体となって「何の匂い」というのが言えないような匂いによって、嗅覚が刺激されると、「ああフランスに来たなあ」と感じます。そしてこれが必ずしも不快ではないというのも面白いです。

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先を急いでいなければ、路地に入ってみたくなる

パリの街に出ても、この匂いの感じは変わりません。

それぞれの店先からは商品の匂いがしてきます。パフュームなどあきらかに匂いがする場所だけではなくて、チーズ屋さんと薬局とコーヒー屋さん、それに服屋さんにも匂いがあります。それだけではなくて路地に色んな匂いが渾然一体となった空気が漂っているのです。これはドイツとも違う雰囲気です*1

不快かというとそういうわけではないのですが、山の空気のように「では、大きく息を吸って!」という感じでは全然ないです。むしろ東京での自動音声で耳が疲れるのと同じで、鼻が割と忙しくてちょっと疲れる気がします。

郷愁

それでもシャルル・ド・ゴール空港で飛行機を降りた瞬間、鼻がヒクヒクとして、「ああパリだなあ」と思う感じは実はとても嬉しい。懐かしい友人に会ったような気がするのです。そしてしばらくすると、以前の通り、鼻が忙しい日常に慣れるのだと思います。

きっと東京にもどったら、この匂いを懐かしく思うんでしょうね。

*1:陸続きの隣国同士で違うんだから、「欧米」なんて単語には意味はない……わたしは常々そう思うんですけれど、その話はまたおいおい。