バイエルンの朝食の話
ドイツ最後の朝、友人は通常通りお仕事の日なので、「ありがとう」と言いながら別れて、わたしは街に出ました。目的は、「バイエルンの朝ごはん」をいただくためです。
バイエルンの朝ごはん、もしくは、正式にはFrühshoppen(ふりゅーしょっぺん)と呼ばれるものは、
- プレッツェル(もしくは、ぶれーつぇ)
- 白ソーセージ(もしくは、ゔぁいしゅゔるしゅてる)
- そしてビール(もしくは、びあ)
からなります。
白ソーセージは(ちゃんとした店)では、正午までしか提供していません*1。なぜなら白ソーセージは、保存食として作られたものではないからです。冷蔵庫のなかった時代、朝作って、朝のうちに食べる食材として確立された白ソーセージですので、午前中しか取り扱いがないのです。
アウグストゥスティーナ・アム・ドーム
もちろん、ビールが白ビールじゃなければいけないという人も見ますけれど、わたしはミュンヘンで一番美味しいビールだと思うアウグスティーナのヘレスが飲める場所を探しました。
ミュンヘンの中心街の一角、聖母教会の真横にあるAugustiner am Dom*2を目指して歩きます。霧雨の平日朝10時、まだビアホールの前のテーブル席に人はいません。
さすがにこれは座りにくいですし、道を歩く人に「あいつは朝からビールを飲んでいるのか」と思われたくないですから、店内に逃げ込みます。店内でも、わたしは一番乗りでした。ウェートレスの方たちがまだ飲んだり食べたりしていたので、「まだ開いてませんの?」と伺うと、「いや、やってますよ」との返事。まあそれならと席に付きます。
友人から「アウグスティーナ見つかった?」とメッセージが来たので、「見つけたけれど、ガラガラ」と返信したり、「それはめっちゃ珍しい。ラッキーだね」と言ってもらったりしている間に、常連の紳士淑女が入ってきます。常連さんが一回りウェイターとウェートレス諸氏と、握手だのハグだのして回っている間はサービス停止。
朝食
わたしと違って注文しなくてもビールが届いている人をみながら羨ましく思ったりしていると、今度は観光客がぞろぞろと入ってきます。
これは確かにラッキーなタイミングでした。
ぼんやりヘレスと呼ばれるビールを飲みながら、人間観察をしていると、白ソーセージが運ばれてきます。テーブルの上にプレッツェルはすでに置かれている(ちなみに最後のお支払いのときにいくつ食べたかを申告する)ので、これで朝食の完成。
白ソーセージは皮を剥いて食べなくてはなりません。「わたしは上手にできるんだものねー。ふふん♪」と誰も見ていないのに、優雅な気持ちでソーセージにナイフを入れ、そのくせ案外手こずりながら、皮をむきます。
いただきます。
ミュンヘン最後の朝、一番好きなビールとソーセージで時間を過ごせて、大変に結構でした。