ゾーン制運賃が東京にも導入されてほしい(……けど)
日本に遊びに来てくれるドイツやフランス在住の友人には、東京の運賃が高いように感じられるようです。確かにSuicaやPASMOのチャージが減るスピードは、とても速いように感じます。特に、複数の会社を跨いで移動すると、高くなります。
ゾーン制運賃の良いところ
乗り換えが楽
(わたしの経験した範囲では)パリやモスクワ、そしてドイツの多くの街では、公共交通機関のゾーン制がひかれているので、どのような事業者の路線を乗り換えても一定の地域内では値段があがりません。もちろん近郊列車と長距離列車の区別はあるので、どんな列車に乗ってもいい訳ではないのですが、それさえ気をつければ切符1枚で目的地へ行くことができます。
ゾーン制の定期券が便利
ゾーン制が一番良いのは、定期券がものすごく便利になることです。通勤通学だけではなく、様々な用事に出かけるときにも、有効に定期券が使えるからです。定期券の券種を1日券から、1年券まで豊富に取り揃えれば、さらに利便性が増します。
わたしがパリやモスクワに出かけると、1週間や1ヵ月の券を買って毎日を過ごします。1度空港で券を買えば、その後交通費のことを心配しなくて良いですし、券売機の使い方で迷うこともありません。
大規模イベント開催時に役立つ
ゾーン制運賃の良いところは、大規模なイベントを開催する際に、参加者を公共交通機関に誘導しやすいことです。入場券をPASMOやSuicaなどに紐付けて、それに1日券を付けて販売すれば、マイカーの使用を減らすことができます。
オリンピックなども入場券を交通系ICカードにして、チャージしたり空港で引き換えれば、転売対策にもなるでしょう。
でも東京にゾーン制運賃は導入されないと思う
たとえば東京にゾーン制運賃が導入されることはあるでしょうか。原理的には、たぶん、導入は可能でしょう。交通系ICカードの入出場記録を使って、PASMOやSuicaといった交通系ICカードを管理している会社が、ゾーン制運賃の収益を各交通事業会社に分配するシステムはすでにあるわけですから。
でも東京にはたぶん、ゾーン制運賃が導入されることはないでしょう。法律や条例の規制なしに、初乗り運賃を取れなくなるシステムが、各社に支持されるとは思いません。単なる利便性のために利益を犠牲するのは、(少なくとも短期的には)理に適わないでしょう。