スーパーマーケットの話
わたしたちはスーパーマーケットが好きです。きっと多くの方もそうだと思うのですが、旅先のスーパーマーケットって色々と発見があってよいですよね。場合によっては、お土産屋さんよりも楽しいですよね。
Aさんがほしいもの
わたしたちが日本のスーパーマーケットに出かけると、Aさんはなるべくゆっくり歩こう、色々見よう、とします。日本のスーパーマーケットには、なかなかパリでは手に入れにくくて(しかも高い)ものもあります。そんなものの中で、Aさんが日本から持って帰るほど好きなものが2つあります。それが柿の種とインスタントの御御御付けです。どちらも初めて日本に来たときに出会って以来のお気に入りです。以来、Aさんは日本のスーパーに寄っては柿の種を買い、また
「御御御付けは、探せばあるけれど、めちゃくちゃ高いの」
と仰るAさんに、わたしは144食分のインスタント御御御付けを持っていくのでした。
わたしのほしいもの
一方のわたしもパリのスーパーマーケットで恋しいものがいくつもあります。中でも、ソシソンと呼ばれるサラミのようなソーセージと、ハリボの欧州でしか売ってない種類のグミはとても恋しいのです。ところが
『ソシソン買ってきてくださいよ』
というわたしの願いは、聞き入れられたことがありません。というのも、肉類の持ち込みは検疫を通らなくてはならないことになっているからです。Aさんは、
「税関で見つかって、没収されるだけならまだしも、ビザが無効になったり強制送還されたらどうするの」
と言うのです。次にフランスのスーパーマーケットに行ける日が来たら、わたしはきっと多くのソシソンを買うのでしょう。
Will you be my Valentine...
バレンタインデーは、日本でもフランスでもお祝いされます*1。ただお祝いの仕方が随分違うようです。
ご案内の通り、日本では女性から男性にチョコレートなどを贈る日になっています。この時期は、東京では普段手に入らないような銘柄のチョコレートが手に入るので、わたしにとってはとても楽しい季節です。
一方でAさんの居住するフランスでは、付き合っている間柄でのみお祝いするイベントのようです*2。プレゼントはお互いに交換するのだそうですよ(と書いてあるウェブページを見つけました)。
「さてわれわれはどうしましょうか」。わたしは先日、通話しながら、Aさんにそう切り出したのでした。そうです。こういうことも、わたしたちは話し合って決めるようなことなのです。お互いに、育ってきた習慣が違いますものね*3。
『で、あなたはどうするの』
「わたしはカードを送ろうと思いますよ。ところで、日本ではどうやってバレンタインデーをお祝いするかご存知?」
『お、知らない』
「では、ぜひ、グーグル先生に訊いておいてくださいましよ」
『わかった』
そんなこんなで、わたしはチョコレートを手に入れることができましょうか。カードとチョコレートじゃ少し釣り合わないですかね。楽しみに待ちたいと思います。
*1:とはいえ、日本の方が大きな行事のようですけれど。
*2:Joyeuse Saint Valentin ! Valentine's day in France - Learn French
*3:ちなみに、Aさんの故国では、国際婦人デーをお祝いする方が、バレンタインをお祝いするよりも重要なようです。
なんとかなるけれど、なんとかしないといけないこと
わたしたちは、英語で喋っています。が、わたしたちのどちらも母語が、英語ではありません。お互いに外国語で付き合っていくこと。これがわたしたちの置かれた状況なのです。そういう意味では、「英語は国際語だよ」って主張したい人々にとって、Aさんとわたしの遠距離恋愛は、格好のサポート事例だな、と思います。
実際にわたしたちは英語でなんとかしています。楽しく過ごして、一緒に欧州版のスーパーマリオで遊んで、たまに喧嘩のようなことをして、次回近距離になる日を計画しています。ありがたいことです。
では英語だけができれば、いいのか。「英語は国際語だよ」って言う方は、割りと「その通り」って仰るような気がします*1。しかし一方で、わたしは英語だけでコミュニケーションを取らないといけないことに不満を感じます。というのもわたしたちは、間違いなく、相手の故郷を訪ねてみたいし、相手の家族や友人たちと話してみたいのですから。
例えば、Aさんは東京に来てしみじみ言うわけです。「東京ってのは、あんまり英語が通じないのね。日本語ができないとダメね」と。地下鉄では、英語のアナウンスが流れ、あちこちに英語の案内板があるだけでは、結局、英語で生活できないわけです。
わたしたち2人のことであれば、英語でなんとかなる。でも、そこから拡げるためには、英語を超えてなんとかしないといけない。わたしたちの生活はその岐路にあるように感じます。
*1:「日本なんだから、日本語で十分」って仰る方については、ここでは考えないことにします。わたしは、その見解に与しない生活の仕方を選んでしまったのですから。
小さな願掛け
Aさんは、"fortune"とか"luck"とかいう言葉が好きなようです。
そしてなんだか事ある毎に小さな願掛けをするのです。例えば、16時16分のように時計の時分があったときなんか、ちょっと会話を止めてでも願掛けしています。
そんなAさんが日本に来て、(わたしがびっくりするほど)ハマったのが、社寺のおみくじです。そしてAさんは、案外(と言ったら気を悪くするかな)、良いくじを引き当てるのです。今年も浅草寺で大吉なんか引いてました。最近のおみくじは英訳がついていたりするので、それを読みながら「浅草はわたしのお気にいりだな」とゴキゲンさんなAさんでありました。
そんなAさんを尻目に、わたしはと言えば、おみくじはできれば引きたくないし(実際に何年もひいてなかったし)、願掛けなんて興味もないのでした。それでも「なんでよ。なんでよ」と言いながら、Aさんはわたしにおみくじを引かせ、それが「凶」だったりすると憤慨して、
「これはね、もういいのが出るまでいろんなお寺巡るからね」
と鼻息を荒くするのでした。
そんなAさんに「もう良いですよ」と言いながら、わたしも気づいたら時計を気にし、時分が合ってるのを見つけたりすると、小さく願掛けをしているようになりました。そんな様子を見てAさんは、若干満足そうです。
「願いは何よ」
「いやいや、『願い事は秘密にしないといけない』って言ったのはあなたじゃないですか」
そんな会話をしながら、人ってのはまあある程度簡単に変わるものですなと思うのでした。
安い航空券を探して
Aさんとわたしは、年に数回*1CDG*2とHND*3を行ったり来たりする生活です。
行って帰って2万km。というわけで、少しでも安い航空券を選びたいのです。安い航空券で往復すれば、もしかしたら往復1回分余計に予算がつけられるかもしれないからです。
ところが航空券が安い時期は、お互いに仕事があって行き来がままなりません。仕方がないので、割と高い時期(例えば、年末年始やお盆休み)に航空券を買うことになります。
そこでわれわれは少しでも状況を好転させるために、作戦を考えるのです。たとえば、
- もちろん、安い経由地を通る航空会社を選ぶ。そうですね。直行便は夢のまた夢です。
- あまり人が飛ばない日を選ぶ。たとえば、クリスマス当日・元旦・お盆の中日は、あまり飛ぶ人がいません。(逆に、クリスマス直前、仕事納めのあたり、お盆直前は混みます)
- CDGだけでなく、ORY*4に降りる飛行機や、HNDだけではなくて、NRTに降りる飛行機も一緒に探す。でもできれば、HNDに降りる飛行機を選べたら嬉しい。
もちろんこの作戦は、11万円の航空券を7万円にする作戦であって、シーズンオフの7万円の航空券を5万円にする作戦とは比べものになりません。またこの作戦は、わたしたちが割と巨大なターミナル空港の近くに住んでいるから可能になるようなものです。
結局、遠距離恋愛ってのは、なんだかんだ言ってもお金がかかるのでした。