CDG-HNDな遠距離国際恋愛日記

パリと東京。Aさんとわたし。

玄関先で生活する話

「英語は世界への扉」というような表現を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。この表現に限定して、グーグル検索すると1万件以上見つかりました*1

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英語で開いた扉の先

実際に英語が第2言語として話される地域はたくさんあります。しかし英語がもっとも使われている第2言語の国はそれほど多くありません。以下の地図は、ウィキペディアで示された英語が公式言語の国のリストです。オレンジは、非公式言語でありながら過半が英語をしゃべる国、白い部分は、公式言語ではないものの少数言語として英語が話されているところです。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/1a/Countries_with_English_as_Official_Language.png

(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/1a/Countries_with_English_as_Official_Language.png by Sulez raz CC BY-SA 4.0)

地図を見れば分かるように英語は、少数言語として話されている国とそもそも殆ど話されていない国(薄い緑)がほとんどです。

この地図が伝えていることは、英語が世界への扉だとしても、英語だけしかしゃべれない生活は、いわば扉をあけてお玄関先で生活することに過ぎないということです。

パリ生活のお玄関先

わたしは、パリでこのような「お玄関先生活」をしたことがあります。しかもそこで全く何が起こっているかわからなかったために、Aさんと親しくなるという、超豪華お玄関先生活でした。

 

cdghnd.hatenablog.com

 

ドイツではドイツ語を喋れていたので、そこから突然転職先として放り込まれたお玄関先生活はなかなかシビアでした。

生活を立ち上げることさえルームメイトや職場の同僚達の助けがなければままならない生活に全く屈辱感を感じない人はいないでしょうし、銀行の口座開設契約の書類を読めずにサインすることに恐怖を感じない人もいないでしょう*2

何より辛かったのは*3、ドイツにいた頃はわたしは自分のいた街の一部だと思えたのですけれど、パリは(とても大好きな街ですけれど)最後までわたしはお客さんで終わったことです。国際的な街で多くの人がフランス語を喋らずに過ごしている街ですら、そう感じるのだから、パリの外に出たらどうなることやら……と思わざるを得ません。

扉が開かれたあとが大事

英語は大事な言語です。多くの人が第1外国語として中学校から学ぶ言語を否定することに意味はありません。義務として始めた言語でも、始めたからには続けるしかないわけです。でも「英語だけ喋れればなんとかなる」と思う人がいれば、それは知的怠惰だと思うのです。

 

cdghnd.hatenablog.com

 

英語で扉が開かれた人は、幸いな人です。しかし「そこは端近、ずずっと奥へ」でございますよ。

英語の扉が開かれなかった人も、諦めるにはおよびません。地球上には多くの言語があります。もしかしたら非英語を勉強すれば初級でもいきなり、母語話者の人にいきなり茶の間につながる縁側に招待されるかもしれないですよ。

*1:引用符を外すと、100万件以上見つかりました。

*2:そんなに苦労して開設した銀行の口座を日本に引っ越すときに解約したわけで、今思い返してもはやまったなと思います。

 

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*3:誤解しないでほしいのですけれど、パリはわたしにとって大事な街です。2年しか住んでいませんが、パリの左岸は今でもわたしに「帰ってきた」という気持ちを起こさせます。「それでも辛いことはある」という話です。