マルシェとひまわりの話
日曜日、13時まで開店スーパーマーケットにお使いにでかけたら、 ガードマンさんに「もう閉店」って追い出されました。12時50分でした。そうでした欧州では閉店時間は、お店が本当に閉まる時間で、最終入店時刻ではないのでした。忘れていました。
しょんぼりしてスーパーを後にしてアパートに戻る道すがら、郵便局前の広場に市が立っているのに気がつきました。いわゆるマルシェですね。マルシェも店じまいの真っ最中でしたし、わたしが欲しい物がフランス語でなんというかわからないので、短時間でちゃきちゃきコミュニケーションをとってものを買うわけに行きません。世の中には英語でなんとかなることとならないことがあります。
「だから英語が国際語なんて嘘なんだよ」と思いながらマルシェをウロウロしておりましたら、賑々しい店先に突き当たりました。花屋さんでした。ひまわりがきれいです。しかも一束8ユーロ。
これはちょっと素敵だなあと眺めておりましたら、お姉さんににっこりと「こんにちは」と言われました。挨拶されたら挨拶を返すのは礼儀。フランス語でこんにちはと言ってみたあと、おずおずと英語で訊いてみます。
「この花一束いくらですか」
「8ユーロですよ」
英語通じた! 誰だフランスでは英語が通じないとか言って偉そうにしているのは。
「では1つください」
と、ここでフランス語に戻ります。「贈り物ですか。」ぎりぎりわかったので、英語で「ガールフレンドにあげたいのですよ」と答えてみると、「じゃあラッピングしなきゃねえ」とフランス語。「いやいや、ちょっとしたサプライズだから、そのままの方が素敵」と英語。「そうですな」と茎をじゃきんと切って、渡してくれました。最後は英語で、「毎日、ここをちょっとずつ切る。いっぱい水をやること。長持ちしますよ」と教わって、良い週末をお互いに願いつつ別れました。
やればできるじゃんか。自慢げな気持ちで家路に着きました。
「スーパーしまってたよ」と渡してみたら、「これどうしたのよ」と訊くAさん。「マルシェで買ってみたんですよね」と説明したら、なかなか満足顔のAさんです。これは来てそうそういいことをしたみたいです。
これでロシア、日本、フランスの花を買ってみましたが、なかなか花を買うのは満足度が高いですね。
「来週のマルシェが楽しみだね」と言っていますが、それはどうでしょう。「サプライズだからいいんじゃないですかね」とだけ今は言ってあります。