小籠包の危機の話
飛行機がスポットについて、iPhoneが「10分ばかり搭乗が遅れますよ」とノーティフィケーションを送ってきたときは、とても希望に満ち足りておりました。
初めての台北。最寄りの地下鉄の駅から鼎泰豊までの地図もダウンロードしましたし、駅名も覚えました。
少々お腹をすかして対峙するのが礼儀でしょうと、機内食もフルーツプレートにしました。そして鼎泰豊でお腹いっぱい食べたあとは眠るだけの深夜便ですから、これもフルーツプレートにしました。きっとAさんはおめざの美味しいクロワッサンなんか持ってきてくれるんじゃないかしら……と思うからです。
朝ごはんを食べてから何も口にせずに出発ロビーに座っているわたしの携帯電話が震えました。誰からのメッセージかしらと思う間もなく、アナウンスが入りました。
「管制の指示により、出発が遅れます。搭乗は14:45です」
13:45がもともとの搭乗時刻でしたので、1時間の遅延です。6時間あった台北滞在が5時間に減りました。
この1時間はクリティカルな1時間です。6時間あれば、街に出て2時間程度お夕飯を食べることができます。鼎泰豊は並ぶとしても、独りですので1時間食事に使えればおなかいっぱいでしょう。
これが5時間に減ると、鼎泰豊で並ぶのは難しくなるでしょう。並ばずに入れたとしても、深夜の空港でのセキュリティチェックがどの程度時間がかかるかわからない中で、不安で食事も楽しめないかもしれません。
台北桃園空港の乗り継ぎカウンターで相談してみようとは思いますけれど、鼎泰豊の小籠包（と炒飯）が空港のレストランのものに格下げになる危機を迎えております。ぬぬぬ。
