引き続きたくらむ同居人、もしくは、漁夫への助け舟
前回は同居人のたくらみに乗せられて、お互いにほとんど何の印象も残らなかった最初の出会いについて書きました。今回は、お互いに記憶に残った2回目の出会いについて書こうと思います。
2回目の出会いも同居人のたくらみから生じます。
諦めない同居人
明らかに脈なしだとわたしなんかは思ったわけですが、Fさんは諦めません。Fさんを通じて聴く話だと、Fさんがまだ諦めないとわかっているのに、SさんもはっきりFさんを袖にしない態度を取り続けたそうです*1。というわけで、日々FさんからSさんの話を聴くわたしでありました。
次のパーティと再びウィングマン
そんななか、Sさんが主導しFさん(そしてその仲間たち)の関わったプロジェクトが完了しました。そしてそのお祝いのパーティ(というかちょっとオフィシャルな感じの家飲み)が開催されることになりました。わたしはそのプロジェクトには一切関係なかったのですが、SさんはFさんにわたしも一緒に連れてくるように言ったんだそうです。(それは言いますよね。わたしがパーティー開催者だったとしても言います。)
わたしは人見知りなので、知らない人のアパートでの家飲みなんて呼ばれても、できれば行きたくなかったのですけれど、今回もまたウイングマンですから、1月の寒い土曜日にパリの郊外に伺うことにしました。
フランス語だらけの飲み会
ところが、というか案の定、わたし以外は外国人も含めてフランス語話者ですので、飲み会が盛り上がってくれば、全員フランス語で楽しく話し込むことになるのは、当然です*2。もちろん、わたしは彼らに無視されたわけではないのです。色んな人が途中で気がついて、英語で話を振ってもくれました。でも話を振ってもらえなければ、会話の主題以外一切わからない状態にいることになりました。
(完全にわたしが悪いのですけれど)この状態はあまり楽しくありません。
そもそも、ウイングマンとして行ったのに、Sさんは彼氏を連れてFさんに最終的なKOパンチを繰り出すし、それを受けてFさんは自身の友達と楽しくお話する会に乗り換えるしで、わたしの出る幕は一切ありません。
わたしは結局、何のためにわざわざでかけたのかもわからず、食い意地で乗り切りるしかないことになりましたので、つまみを黙々と食べておりました。
英語の助け船
そうやって過ごしておりますと、段々「そろそろ帰っても失礼じゃない頃かな」などと考えるようになります。電車がいっぱい走っている時間に帰りたいからです。もう会話に参加することすら諦めてピザなどを頬張りながら、ぼんやりとそんなことを考えていたら、話しかけてくれる声がしました。
横をみると前回Sさんの影に隠れていた人でした。この人は、Sさんの同居人であること、Aさんという名前であること、ロシアから来ていることなどを教えてくれました。実はその他に何を喋ったのかは覚えていないのですが(てへ)、その後もずいぶん長いことよしなしごとを話しました。
お互いの印象
Aさんに後からこの日の印象を聞きましたら、さすがにわたしのことは記憶に残ったようです。そして(今から振り返れば)悪い印象もなかったようです。しかし「この人とはもう会うことはないだろうなあ。だってもう少ししたら、出国してしまうんだもの」と強く思ったそうです。たしかにわたしは「しばらくしたら半年日本で仕事です」とは言いましたし、出国するんだという情報の方が、半年後に戻ってくるという情報よりも喫緊ですから、それも印象に残ったでありましょう。
でもね、わたしはある程度「帰ってきますよ」ということを強調したつもりだったんですよね。なんといってもわけのわからない会話を救ってくれる素敵な人が現れたら、「また会えたらいいね」と思うじゃないですか。ただしわたしも、この人とお付き合いするぞとはとても思えませんでした。「そう思ったとしても、どうせまた振られるでしょう」と、変な振られグセ*3のついたメタ思考をしたことを覚えています。