間に合った話
桜の季節が続いています。今年はあまり花見に行けていませんが、昨年はかなり楽しみました。目黒川に、千鳥ヶ淵に、麻生川に、近所の団地……暇を見つけてあちらこちらに出かけて写真を撮ってはAさんとシェアしたのです。
写真をシェアするたびにAさんは、「わたしが行く頃にはまだ咲いているかなぁ」と言うのでした。ところが入国日は4月23日。「ソメイヨシノは難しいけれど、別の種類がひょっとしたらまだ咲いているかもしれないですよ」と慰めるわたしでした。「八重桜があるから!」
そんなことを言いながらも、正直去年は開花が早かったので、八重桜も難しいかもしれないなあと思っておりました。
それ以来、八重桜を見るたびに、「まだ咲かない」、「ちょっと咲きそう」、「咲きはじめた」……とどきどきしておりました。
実際、都内での仕事先の八重桜が咲き、満開になり、散り始めました。だんだん賑々しく(文字通り)華々しくなっていく木々を眺めながら「やっぱり今年の開花ペースは速いなあ。もう間に合わないな」としょんぼりするのは、悲しいものです*1。
Aさんとも、「今年は難しいかもしれないですね」という話をしていました。その頃、ふと団地を歩いていたら八重桜の木を1本みつけました。そしてこの木は明らかに都内よりも1週間ほどペースが遅いのです。
それからは、毎日遠回りしてその木を眺めてから仕事に出ました。花がつき、3分咲きになり……そして気がつくと、この木は団地のお気に入りになったのでした。
ありがたいことに、Aさんが着陸した日、団地の八重桜は満開を過ぎていてもいくらか花を残していました。そして我々は最後に残った団地の八重桜でお花見したのでしたのでした。
今年も桜並木を見せることは叶いそうにありませんが、きっとそう遠くない内に4月の頭に一緒に花見でも出来たらよいなと思うのです。
*1:考えたら仕事先で花が咲いているだけでしょんぼりしているのは、それはそれでなんだかおかしいですね。